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◆どのような制度なのか?

大手企業を中心として、「勤務間インターバル制度」を導入する動きが広がっているそうです。あまり聞きなれない制度ですが、導入するとどのような効果があるのでしょうか。

 
◆EUが先駆的に導入
この「勤務間インターバル制度」は、「勤務間インターバル規制」とも言われるもので、従業員の方の仕事が終わってから次に仕事を始めるまでに、一定の休息を義務付ける制度のことです。
欧州連合(EU)では、この制度を先駆的に導入しています。具体的には、加盟国が法制化しており、加盟国の法律の基礎を定めた「EU労働時間指令」(1993年制定)により、「最低11時間の休息」を定めています。
これに従えば、原則として1日13時間以上は働くことができず、「週労働時間78時間以下(残業を含む)」と義務付けることになり、必然的に定時後の残業に規制がかかり、過度な長時間労働を防止する仕組みです。 
 
◆日本での導入状況は?
日本でも、三菱重工業の労働組合が、今年の春闘において製造業としては初めて経営側に要求しており、NTTグループでも労使協議を始めているそうです。その他にも、大企業を中心として導入に前向きな企業が増えているそうです。
三菱重工業の労働組合では、「従業員がきちんと休息を取って健康が確保されれば、必ず生産活動にプラスになる」と主張しており、会社側も「長時間労働抑制、健康管理に寄与する制度としての要求として受け止めている」と話しています。
 
◆本格的に取り組む企業が増加するか
夜間・休日の仕事が多くなる通信工事の会社などでも、労使合意に基づく制度化が進んでいるようであり、今後、本格的に取り組む企業が増えていきそうです。

◆各都道府県労働局で一斉に実施

厚生労働省は毎年11月に「労働時間適正化キャンペーン」を実施し、長時間労働やサービス残業の解消を促す取組みを行っていますが、その一環として今年11月6日に各都道府県労働局で一斉に行った「労働時間相談ダイヤル」の相談結果を発表しました。
相談件数は787件(昨年度比114件減少)で、労働者本人からの相談が495件(62.9%)、労働者の家族からの相談が235件(29.9%)で、相談内容は、「賃金不払残業」に関するものが438件(55.7%)、「長時間労働」に関するものが247件(31.4%)を占めています。
以下に、この「労働時間相談ダイヤル」における相談内容の事例を紹介します。
 
◆「賃金不払残業」に関する相談内容例
(1)卸・小売業で働いている労働者からの相談
スーパーで勤務しています。労働時間は自己申告で管理しており、1カ月100時間を超える残業をしていますが、正しく申告できない状況にあるため、残業手当が一部しか支払われていません。
(2)製造業で働いている労働者からの相談
工場で働いています。交替制勤務ですが、1日4~5時間の残業が慢性化しています。タイムカードは終業時間で打刻させられるので、その分の残業手当が全然支払われません。
 
◆「長時間労働」に関する相談内容例
(1)卸・小売業で働いている労働者からの相談
清涼飲料水の自動販売機への商品の補充作業をしています。ほとんど毎日のように1日13時間に及ぶ勤務ですので、1カ月にすると120時間以上の残業をしており、家族団らんの時間が作れません。
(2)警備業で働いている労働者の家族からの相談
夫がシステム関連の仕事をしています。残業や休日労働が多く、長い月で1カ月150時間を超える残業や休日労働をしています。労働時間を自己申告していますが、実際の時間を申告するのは困難なため、会社は労働者の労働時間について適正に把握していません。夫の健康状態が心配です。
 
◆労使トラブルは近年増加傾向

近年、労働時間や割増賃金に関する労使トラブルは増加傾向にあります。法律を遵守するのはもちろんのことですが、トラブルを発生させないよう、日頃から労使間で十分なコミュニケーションを図りつつ、社員の「ワーク・ライフ・バランス」にも気を配らせる取組みが必要です。

◆全国一斉の電話相談など

厚生労働省では、長時間労働に伴う問題解消を図るために、11月を「労働時間適正化キャンペーン」と定め、全国一斉の電話相談の実施をはじめ、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知啓発などの取組みを集中的に実施しています。
 
◆労働時間をめぐる現状
平成21年の総務省調査によると、週60時間以上働いている人の割合は全体の9.2%で、30代の男性に限ってみると全体の倍の水準となる18.0%にも上ります。
1カ月の残業時間が80時間を超える状態が続くと、心身の健康を害するばかりか、過労死の危険性が高まると言われています。
過労死などで労災認定された件数は平成21年度に293件となっており、過重労働による健康障害の事例が数多く報告されています。また、労働基準監督署による賃金不払残業の是正指導も多く見られます。
 
◆キャンペーンの重点事項
このような状況を受け、厚生労働省では、平成22年度も「労働時間適正化キャンペーン」を実施し、長時間労働の抑制を行うなど、労働時間の適正化に向けて労使の主体的な取組みを促すとともに、重点監督などを行っています。
今年度の重点取組み事項は、次の3点となっています。
(1)時間外労働協定の適正化などによる時間外・休日労働の削減
(2)長時間労働者への医師による面接指導など労働者の健康管理に関する措置の徹底
(3)労働時間の適正な把握の徹底
 
◆賃金不払残業が大きな問題に
長時間労働と同様に、現在、賃金不払残業(サービス残業)が大きな問題になっています。

このキャンペーンを機に、恒常的に長時間労働が行われていないか、長時間労働者の健康管理について配慮がなされているか、労働時間が適正に把握されているかなど、労働環境を今一度見直してみましょう。

◆「年間休日」に関する調査結果から

人材紹介大手の株式会社インテリジェンスが行った「年間休日調査」の結果が9月中旬に発表されました。この調査は法人企業5,000社を対象とした大規模なものです。
企業における年間休日数については「120日以上」(76.2%)としているところが最多であり、以下、「100~119日」(21.4%)、「99日以下」(2.4%)と続いています。
 
◆業種別に見るとどうなっているか
業種別では、年間休日数が「120日以上」の企業の割合は「金融」(95.5%)、「IT」(95.4%)、「メディア」(82.1%)の順に多くなっています。逆に「120日以上」と回答した割合が少ない業種は、「小売・外食」(24.2%)、「建築・土木」(53.3%)、「サービス」(71.2%)となっています。
年間休日数が多い業種では、法人向けの事業を展開している会社が多く、年間休日数が少ない業種では、年中無休で店舗営業などしているケースが多く、また、土日祝日がかき入れ時となるため週休1日といったケースも多く、全体として休日が少なくなっています。
 
◆地域別に見るとどうなっているか
地域別では、年間休日が「120日以上」の地域の割合は「関東」(83.9%)が最多でした。以下、「東北」(70.2%)、「関西」(68.7%)、「北海道」(58.8%)、「九州・沖縄」(56.6%)、「中国・四国」(55.6%)と続いています。
この結果には、地域の産業構造が影響していると分析されています。「関東」や「関西」には比較的休日の多い業種(金融やITなど)が集まっているため、年間休日数が多くなっています。

逆に、「中国・四国」や「九州・沖縄」などは、大手メーカーの下請工場や365日稼動しているコールセンターなどが比較的多い地域です。このような企業では、従業員がシフト制で勤務している場合が多く、長期の休暇が取得しづらい傾向にあります。

◆平成22年度の新入社員を対象とした調査

公益財団法人日本生産性本部の「就職力センター」と社団法人日本経済青年協議会では、平成22年度の新入社員を対象とした「働くことの意識調査」(55社2,663人が回答)の結果を発表しました。
この調査結果から、今どきの新入社員の考え方をうかがい知ることができます。
 
◆「お気楽志向」が減少
まず、「第一志望の会社に入れたか」との質問で「はい」と答えた人は55.2%で、昨年の62.3%からに7.1ポイント減少しており、厳しい就職活動だったことが表れています。
そして、「人並み以上に働きたいか」との質問では、「人並み以上」と答えた人が43.0%(前年は41.0%)、「人並みで十分」と答えた人が49.3%(前年は50.3%)との結果となり、「お気楽志向」が退潮したと分析されています。
 
◆「デート」よりも「残業」?
次に、「仕事中心か生活中心か」との質問では、「仕事と生活の両立」という回答が82.8%を占め、「仕事中心」との回答(9.2%)が「生活中心」との回答(7.9%)を上回っています。
そして「デートの約束があった時、残業を命じられたら、あなたはどうしますか」との質問では、「デートをやめて仕事をする」と答えた「残業派」の人が85.3%、「仕事をことわってデートをする」と答えた「デート派」の人が14.2%でした。この「85.3%」と「14.2%」の差は、昭和44年度の調査開始以来、過去最高の開きだそうです。
男女別に見ると、「残業派」の男性81.9%、女性88.8%で、女性のほうが仕事を優先する傾向が強いようです。
 
◆詳しい調査結果について

その他、詳しい調査結果(6月28日発表)については、公益財団法人日本生産性本部のホームページ(http://activity.jpc-net.jp/detail/lrw/activity000985.html)でご覧いただくことができます。

 

◆IT企業などで導入
最近、長時間労働が恒常化しているIT関連企業などにおいて、「勤務間インターバル規制」を導入する動きが見られるそうです。このインターバル規制は、1日の仕事が終了してから次に仕事を開始するまでに、一定時間の休息を義務付けるものです。
なぜ今、導入する企業が増えているのでしょうか。
 
◆EU指令では「連続11時間の休息」
上記の規制に関しては、EU(欧州連合)が加盟国の法律に関する基準を定めた「EU労働時間指令」の中で、「最低連続11時間の休息」を規定しています。なぜ、このような規制が定められているかというと、「ワーク・ライフ・バランス」に配慮するためであり、労働者の健康を守るためです。
仮にEUの基準でこの規制を導入した場合、例えば午後11時まで勤務した日の翌日は、午前10時までは勤務が免除されることになります。
日本の情報労連(情報産業労働組合連合会)では、昨年の春闘において、「導入が可能な組合においては、インターバル規制の導入に向けた労使間協議を促進する」という方針を掲げました。
 
◆ワーク・ライフ・バランスに向けて
厚生労働省から発表されている「労働経済白書」によれば、25~44歳の男性のうち週に60時間以上働いている人の割合は20%以上になっており、週5日勤務した場合、1日に12時間も働いている計算になります。

この「働き盛り」世代の健康を守り、「ワーク・ライフ・バランス社会」を実現させるため、今後、日本でもこのインターバル規制についてさらに議論されていくかもしれません。

◆2009年は19%の企業が導入

総務省が4月下旬に「2009年通信利用動向調査」の結果を発表しましたが、それによれば、テレワーク(在宅勤務)を導入している企業は2009年に19.0%となったそうです。2007年は10.8%でしたから、2年でほぼ倍増しているといえます。
増加している要因には、どのようなことがあるのでしょうか。
 
◆「非常時に備えて」の理由が増加
テレワークを導入している企業の導入目的を見てみると、「勤務者の移動時間の短縮」(51.5%)、「定型的業務の効率性(生産性)の向上」(41.8%)が上位を占めています。
そして、「地震や新型インフルエンザ等の非常時の事業継続に備えて」が、前年の19.2%から20.4ポイントも上昇し、39.6%となっています。
その他の理由としては、「顧客満足度の向上」(18.7%)、「勤務者にゆとりと健康的な生活の実現」(13.3%)、「通勤弱者(身体障害者、高齢者、育児中の女性等)」への対応(13.2%)などが挙げられています。
 
◆導入企業の多くは大企業
テレワーク導入企業のうち、96.2%が「導入の効果があった」と回答しており、その効果はとても大きいようです。

現在、テレワーク導入企業の中心は大企業となっているようですが、今後は、非常時への対応(危機管理)、従業員への配慮、顧客先への配慮といった理由から、中小企業でも導入が進んでいくかもしれません。

 

◆長時間労働の短縮に向けて
過去に「働きバチ」と揶揄されたこともある日本人の残業時間は、以前よりは短くなっているものの、国際的にみるとまだまだ長いと言われています。
1人あたりの平均年間総実労働時間は減少傾向にあるものの、正社員については、今も2,000時間前後で推移しています。働き盛りの30~40代男性では、フルタイム勤務者のうち週60時間以上働く人が全体の2割を超えています
ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現させるためにも長時間労働の短縮は必要不可欠ですし、また、この4月からは改正労働基準法が施行され、月60時間を超える残業に支払う賃金割増率が25%から50%以上へと引き上げられており(中小企業は猶予期間あり)、人件費抑制の対策としても労働時間の短縮が急務と言えます。
 
◆残業時間削減への各社の取組み
残業時間削減に向けて、ある企業では、会議で使用するディスプレー上に、社員1秒あたりの平均賃金と会議時間を基に算出した「会議コスト」を秒刻みで表示しているそうです。一人ひとりにコストを意識させ、会議を効率的に進めることが狙いです。この企業では、全スタッフが1日の予定をパソコンに入力し、共有できる仕組みも導入したことにより、月間の平均残業時間が2年前に比べ半分以下となったそうです。
また、他の企業では、1日の予定を管理職に報告させることに加え、全員の時間の使い方を分析することで、長時間労働の原因を分析し、残業削減に取り組んでいるそうです。
 
◆個人でもできる残業削減
残業時間を減らすには、社員の協力も必要不可欠です。仕事を効率的に終わらせるスキルを身につけることができれば、個人でも残業の削減は可能です。
まずは、日常業務を徹底的に見直し、始業から就業までの間にどんな仕事をするのか、スケジュールを書き出すことから始めます。このとき、例えば「13時~17時:資料作成」などと大まかに計画しがちですが、資料作成といっても「データ収集」「情報分析」「入力作業」などいくつもの作業に分かれます。業務を細分化し、事前に準備しておく事項や人に任せられる事項を明確にしておけば、時間を効率的に使えるようになります。

残業時間の削減は労使双方にとって大きなメリットがあります。まずは、会議や打合せ、資料作成などの身近なムダを排除することから始める必要がありそうです。

 

◆4月1日から施行
厚生労働省では、年次有給休暇を取得しやすい環境を整備するため、「労働時間等見直しガイドライン」(労働時間等設定改善指針)の改正を行いました。
改正されたガイドラインは4月1日から施行されています。以下では、このガイドラインの概要、改正内容のポイントをご紹介します。
 
◆「労働時間等見直しガイドライン」とは?
このガイドラインは、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」(労働時間等設定改善法)に基づくもので、労働時間や年次有給休暇等に関する事項について、労働者の生活と健康に配慮するとともに、多様な働き方に対応したものへと改善するために、事業主等が取り組むべき事項を定めたものです。
 
◆「改正ガイドライン」のポイント
改正されたガイドラインでは、年次有給休暇について、企業に対して次のような制度的な改善を促すこととしています。
(1)労使の話合いの機会において年次有給休暇の取得状況を確認する制度を導入するとともに、取得率向上に向けた具体的な方策を検討すること。
(2)取得率の目標設定を検討すること。
(3)計画的付与制度(年次有給休暇のうち5日を超える分については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度)の活用を図る際、連続した休暇の取得促進に配慮すること。
(4)2週間程度の連続した休暇の取得促進を図るにあたっては、当該事業場の全労働者が長期休暇を取得できるような制度の導入に向けて検討すること。
 
◆環境整備が求められている
上記ガイドラインに法的な拘束力はなく、これを守らなかったからといって罰せられることはありませんが、企業としては、働きやすい環境を整えることにより、従業員の健康管理、モチベーション維持・アップに努めたいものです。

 

◆社員・元社員が未払い残業代を請求!
最近、未払い残業代をめぐる民事訴訟に関する報道が相次いでなされています。いずれも社員や元社員が、未払いの残業代があるとして会社に対して請求を行っているものです。
 
◆「残業代請求権放棄」に関する文書
不動産会社の社員・元社員5人が、会社に対して未払い残業代などの支払いを岡山地裁に求めていた訴訟の弁論で、「会社が社員に残業代請求権を放棄させるように誘導していた」として、その手順などを示した内部文書を証拠として提出したそうです。
この文書は「未払い賃金確定手順」という名称で、会社が未払い残業代を支払うように是正勧告を受けた際、支払額確定のために作成したものだそうです。残業代が成果給に含まれていることを社員に再認識させるよう上司に求め、成果給が多額の社員には「未払い賃金なし」で合意するように誘導し、そうでない場合は低額に抑えるよう指示をしていました。
社員側の弁護団では、「文書は労働基準監督署の是正勧告を愚ろうするものであり、誘導された確認書は無効である」と主張しているそうです。
 
◆「変形労働時間制」を理由に残業代未払い
飲食店で働いていた元アルバイト社員が、「1カ月単位の変形労働時間制を理由にして残業代が支払われなかったのは違法である」と主張して、働いていた会社を相手取り、未払い残業代などの支払いを東京地裁に求めていた訴訟の判決がありました。
東京地裁は、この男性の主張を認め、同社に対して時効分を除く約12万円の支払いを命じる判決を下しました。
同社では、変形労働時間制の採用を理由に1日8時間を超えた分の残業代を一部しか支払っていなかったにもかかわらず、勤務シフト表は半月分しか作成していなかったそうで、東京地裁は、労働基準法の要件を満たしていないと判断しました。
 
◆リスクへの対応が必要
未払い残業代をめぐっては、「企業における終身雇用体制の崩壊」や「残業代請求が認められることの認識の広がり」などから、企業が請求されるリスクは増大しているといえます。
企業としては、このような事態が生じないよう、日頃から十分な対策をとっておくことが必要になります。