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◆政府の検討会が「報告書」を発表

政府の「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」では、今後のメンタルヘルス対策に関する「報告書」を取りまとめ、発表しました。同検討会は、厚生労働省の「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」が今年5月にまとめた報告の中で「職場におけるメンタルヘルス対策」が重点の1つとされたことを受けて設けられたものです。
今回発表された「報告書」の内容が、今後の国によるメンタルヘルス対策、ひいては企業のメンタルヘルス対策にどのような影響を与えるのか、非常に注目されます。
 
◆検討会「報告書」のポイント
検討会「報告書」が示した内容のポイントは、次の通りです。
(1)労働者のストレスチェックの実施
一般定期健康診断の際に、「ストレスに関連する労働者の症状・不調」について医師が確認すること。
(2)産業医等との面接の実施、労働者のプライバシー保護
面接が必要とされた労働者については産業医等と面接を行う。その際、ストレスに関連する症状や不調の状況、面接が必要かについて事業者には知らせないこと。
(3)労働者の同意を得たうえでの産業医等の意見陳述
産業医等は、労働者との面接の結果、必要と判断した場合には、労働者の同意を得て、事業者に時間外労働の制限や作業の転換などについて意見を述べること。
(4)産業医等の意見の明示、了解を得るための話合いの実施
事業者は、労働時間の短縮等を行う場合には、産業医等の意見を労働者に明示し、了解を得るための話合いを行うこと。
 
◆今後のメンタルヘルス対策に活かされるか
メンタルヘルス不調者対策が企業の労務管理上の重要な課題となっていますが、これまでの対策が期待した効果をあげているとは言い難いのが現状です。

厚生労働省では、今後、制度改正に向けた議論を始める予定です。今回の「報告書」の内容が、今後のメンタルヘルス対策に活かされることが大いに期待されます。

◆約6割の企業で「メンタル不調者が増加」

株式会社アドバンテッジリスクマネジメントは、従業員300名以上の企業・団体の経営者・人事部長を対象とした「安心して働ける環境を創るための人材戦略に関するアンケート」の結果を発表しました。
この中で、「メンタル不調者が増加している」との回答は58.7%に上りました。また、「メンタルヘルス対策の効果は不十分である」との回答は61.2%、「今後メンタルヘルス対策を見直す必要がある」との回答は74.4%でした。
 
◆労災請求件数も増加
6月には厚生労働省から「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況」が発表されていますが、2009年度における精神障害等事案の労災補償状況については、請求件数1,136件(前年度比22.5%増)、支給決定件数234件(同13.0%減)となっています。
業種別では、請求件数については「医療,福祉」に分類される「社会保険・社会福祉・介護事業」が最も多く、支給決定件数については「建設業」に分類される「総合工事業」が最も多くありました。
年齢別では、請求件数、支給決定件数ともに「30~39歳」が最も多くなっています。
 
◆メンタル不調者増加の要因は?
東京都産業労働局が発表した「中小規模事業所におけるメンタルヘルス対策に関する実態調査」(調査対象は従業員10人以上300人未満の事業所)によれば、事業所が考えるメンタル不調理由は、以下の通りとなっています。
(1)職場の人間関係(46.2%)
(2)職場外の個人的な問題(39.1%)
(3)仕事への不適応(39.1%)
(4)仕事の質の高さ(20.3%)
(5)仕事の量の多さ(19.3%)
(6)長時間労働(12.2%)
 
◆職場としてメンタル不調者をどう考えるか
企業によって事情は様々でしょうが、上記の結果からもわかる通り、メンタルヘルス不調者を出さないために、企業には、「職場の人間関係をいかに良好にするか」「従業員それぞれに対していかに上手に仕事を割り振るか」「長時間労働をいかになくすか」などの配慮・努力が求められると言えます。

◆ストレス社会の中で

日本における自殺者数は、近年、3万人を超える数で推移していますが、そのうち約2,500人の原因・動機は「勤務問題」によるものだとされています。また、精神障害等による労災認定件数も増加傾向にあり、仕事や職業生活に強いストレスを感じている労働者は約6割に上るとの調査結果もあるようです。厚生労働省の調査では、うつ病患者を含む「気分障害」の患者は100万人を超えているそうです。
そのような状況の中、厚生労働省に設置された「職場におけるメンタルヘルス対策検討会」(学者、医師、弁護士などで構成)が、5月下旬に初めての会合を開きました。
 
◆今後検討される内容
この検討会においては、(1)メンタルヘルス不調者を把握する方法(2)不調者の把握後の作業転換・職場復帰などの対応方法を検討するとしています。
このうち(1)については、具体的には、労働安全衛生法に基づく定期健康診断において、労働者が不利益を被らないように配慮をしつつ、効果的にメンタルヘルス不調者を把握する方法について検討していくとしています。
また、(2)については、メンタルヘルス不調者の把握後、会社による労働時間の短縮、作業の転換、休業、職場復帰等の対応が適切に行われるように、外部機関の活用や医師の確保に関する制度等について検討していくとしています。
 
◆企業としての対応が急務
労働基準監督署では、平成22年度においては、「メンタルヘルス対策の具体的な取組みについての事業場への指導・助言」を特に強化する方針を示しています。

企業としても、メンタルヘルス不調者が発生しないための取組み、仮に不調者が発生してしまった場合の対応に関してのルール作り(「休職制度」「職場復帰制度」「リハビリ勤務制度」等の規定化)など、対応が急務となっている状況です。