» 2010 » 8月のブログ記事

◆労衛法の改正を視野に

厚生労働省は、労働安全衛生法を改正して、職場における受動喫煙対策を義務付ける方針を明らかにしました。
法律を改正してまで受動喫煙対策に取り組もうとする強い意欲が伺えますが、改正法が成立すれば、飲食店や商業施設等には大きな影響を与えることになりそうです。
 
◆健康増進法に基づく「努力義務」
現在、健康増進法では、役所・病院・商業施設など多くの利用者が集まる施設の管理者に対しては、受動喫煙を防止する「努力義務」を課しています。
健康増進法は、国民の健康の増進の重要性が増し、健康づくりや疾病予防を積極的に推進するための環境整備が要請される中、厚生労働省が開始した「健康日本21」プロジェクトを中核とする国民の健康づくり・疾病予防をさらに積極的に推進するため、医療制度改革の一環として2002年に可決・成立した法律です。
厚生労働省は、この法律の規定に基づき、飲食店などを全面的に禁煙とするように、今年の2月に通知を出しました。
 
◆従業員の受動喫煙防止
そして、現在、労働安全衛生法改正についての議論が進められています。
主な内容としては、事務所・工場等は原則として禁煙とすること、喫煙室の設置は認めること、飲食店・商業施設等で接客を行う従業員の受動喫煙を防止するために、室内のたばこの煙に含まれる有害物質の空気中濃度を一定基準以下に抑えるように義務付けることなどです。
 
◆企業には大きな影響と負担
この濃度規制が導入された場合、全面禁煙とするか、喫煙室を設けるか、強力な換気施設を設けるか等の選択を迫られることになります。

改正案は、来年の通常国会に提出される模様ですが、多くの企業に影響を与え、負担を強いることになるため、今後の動向が気になるところです。

◆約6割の企業で「メンタル不調者が増加」

株式会社アドバンテッジリスクマネジメントは、従業員300名以上の企業・団体の経営者・人事部長を対象とした「安心して働ける環境を創るための人材戦略に関するアンケート」の結果を発表しました。
この中で、「メンタル不調者が増加している」との回答は58.7%に上りました。また、「メンタルヘルス対策の効果は不十分である」との回答は61.2%、「今後メンタルヘルス対策を見直す必要がある」との回答は74.4%でした。
 
◆労災請求件数も増加
6月には厚生労働省から「脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況」が発表されていますが、2009年度における精神障害等事案の労災補償状況については、請求件数1,136件(前年度比22.5%増)、支給決定件数234件(同13.0%減)となっています。
業種別では、請求件数については「医療,福祉」に分類される「社会保険・社会福祉・介護事業」が最も多く、支給決定件数については「建設業」に分類される「総合工事業」が最も多くありました。
年齢別では、請求件数、支給決定件数ともに「30~39歳」が最も多くなっています。
 
◆メンタル不調者増加の要因は?
東京都産業労働局が発表した「中小規模事業所におけるメンタルヘルス対策に関する実態調査」(調査対象は従業員10人以上300人未満の事業所)によれば、事業所が考えるメンタル不調理由は、以下の通りとなっています。
(1)職場の人間関係(46.2%)
(2)職場外の個人的な問題(39.1%)
(3)仕事への不適応(39.1%)
(4)仕事の質の高さ(20.3%)
(5)仕事の量の多さ(19.3%)
(6)長時間労働(12.2%)
 
◆職場としてメンタル不調者をどう考えるか
企業によって事情は様々でしょうが、上記の結果からもわかる通り、メンタルヘルス不調者を出さないために、企業には、「職場の人間関係をいかに良好にするか」「従業員それぞれに対していかに上手に仕事を割り振るか」「長時間労働をいかになくすか」などの配慮・努力が求められると言えます。

◆申立件数が過去最高に

最高裁判所が2009年における労働審判の申立件数を公表し、3,468件で過去最高となったことがわかりました。労働審判制度は2006年4月にスタートしましたが、4年で約4倍の伸びとなっています。

内容別の内訳では、「解雇等の地位確認」に関する申立てが1,701件、「賃金・手当」に関する申立てが1,059件、「退職金」に関する申立てが205件などとなっています。
 
◆背景に労使トラブルの増加
申立ての多くは労働者や退職者からのものですが、その背景には、不況下における雇用調整の実施、賃金の引下げなどに伴う労使トラブルの増加が挙げられます。
上場企業のうち、2008年秋以降に何らかの「雇用調整」を実施した企業は何と76.7%にのぼるという調査結果も出ています(労働政策研究・研修機構の発表)。雇用調整の具体的内容については、「新規採用の抑制」(53.2%)、「契約社員・パート労働者らの契約不更新」(52.0%)、「不採算部門の縮小、事務所の閉鎖」(45.6%)となっています。
 
◆労働審判制度の特徴
労働審判制度は、使用者と個々の労働者間の権利義務に関する紛争(個別労働関係紛争)について調停または審判を行う手続きで、裁判官1名と審判員2名からなる労働審判委員会が、3回以内の期日で審理を行います。
労使双方が合意すれば「裁判上の和解」と同様の効力が生じ、異議申立てがなされれば民事訴訟の手続きへと移行します。
そして、「民事訴訟」や「あっせん」と比較した場合、労働審判には労働者にとって時間的・費用的なメリットが多いと言えます。
 
◆日頃の労務管理が大事

労使トラブルの増加傾向が続けば、今後も労働審判の申立件数は増えていくものと思われます。企業側としては、トラブルが発生しないように、また、トラブルが労働審判に持ち込まれないように、常日頃からしっかりとした労務管理を行っておくことが必要なのは言うまでもないことです。

◆やや減少傾向

法務省入国管理局が発表した、平成21年度における「留学」および「就学」の在留資格を有する外国人(「留学生等」)の日本企業等への就職状況によれば、平成21年度に日本企業等への就職を目的として「在留資格変更許可申請」を行った件数は10,230件で、このうち9,584件が許可されており、前年の許可数である11,040件より1,456件(13.2%)減少したそうです。
 
◆在留資格、国籍・出身地の内訳
日本企業等への就職を目的として在留資格の変更が許可された9,584人について、在留資格、国籍・出身地の内訳は次の通りとなっています。
在留資格については、「人文知識・国際業務」が6,677人(69.7%)、「技術」が2,154人(22.5%)で、これら2つの在留資格で全体の92.1%を占めています。
国籍・出身地については、中国(台湾、香港およびマカオを除く)が6,333人(66.1%)で最も多く、韓国、中国(台湾)、ネパール、ベトナムと続いています。
 
◆業種、職務内容、報酬について
(1)就職先の業種
非製造業が7,096人(74.0%)、製造業が2,488人(26.0%)で、非製造業は前年比973人、製造業は前年比483人、それぞれ減少しています。
なお、非製造業では、商業・貿易分野、コンピュータ関連分野、教育分野がそれぞれ2,248人(23.5%)、1,252人(13.1%)、705人(7.4%)と上位を占めており、製造業では、機械分野、電機分野がそれぞれ427人(4.5%)、419人(4.4%)と上位を占めています。
(2)就職先での職務内容
翻訳・通訳が2,731人(28.5%)で最も多いものの、前年比986人減少しました。次いで、販売・営業(1,631人)、情報処理(1,010人)、海外業務(576人)の順となっています。
(3)月額報酬
月額報酬20万円以上25万円未満が4,945人(51.6%)と最も多く、次いで20万円未満2,697人(28.1%)、25万円以上30万円未満1,116人(11.6%)の順となっています。
 
◆留学生が企業にとって大きな存在に
日本企業等への就職を目的とした「在留資格変更許可申請」は減少傾向にありますが、国籍・出身地別ではアジア諸国出身者からの申請が90%以上も占めています。

グローバル化が進み、アジア諸国への進出を図りたい日本企業にとっては、留学生の存在はますます大きなものになっていくのではないでしょうか。