» 2011 » 1月のブログ記事

◆「同居の親族」のみを雇用する事業も対象に

単独では退職金制度を備えることができない中小企業のための、相互共済の仕組みによる退職金制度である「中小企業退職金共済制度」(中退共)について、厚生労働省は、中小企業退職金共済法施行規則を改正しました(平成23年1月1日施行)。
この改正により、妻や子供など「同居の親族」のみを雇用する事業も、中退共に加入できるようになりました。これは、雇用・経済情勢が特に悪化し、退職後の従業員の生活保障の重要性が改めて認識される中で、事業主と生計を一にする同居の親族のみを雇用する事業に雇用される者であっても、使用従属関係が認められる同居の親族については、中小企業退職金共済法の「従業員」として取り扱うこととしたものです。
 
◆改正後の留意事項
 中退共加入時の留意点は以下の通りです。
(1)同居の親族のみを雇用する事業所か否か(中退共への加入状況ではなく、事業所の雇用実態となります)、加入させる従業員が同居の親族か否かの届出が必要です。
(2)上記(1)において「同居の親族」がいる旨の申込書が提出された場合には、後日、中退共から使用従属関係を確認する「チェックシート」が事業主に送付されます。必要事項を記入のうえ、労働条件通知書等の必要書類と共に返送します。
(3)過去勤務期間については、新規申込時までの、継続して雇用された期間で最高10年間を通算期間とすることができますが、過去に小規模企業共済制度に加入していた期間は通算できません。
(4)同居の親族以外の従業員を雇用する事業所(混在事業所)が、新規加入助成期間中に同居の親族のみの事業所となった場合には、その「新規加入助成」が打ち切られます。
(5)同居の親族のみを雇用する事業所が新規に加入した場合は、新規加入助成の対象となりません。
 
◆「生活保障」としての役割
この他、加入中、退職時とそれぞれのタイミングにおいて、留意するポイントがあり、多少複雑ではあります。しかし、加入することによるメリットも多く、特に生活保障としての役割は大きいかと思われます。
条件に該当する中小企業では、加入の検討の余地は大いにあるでしょう。

◆新しい助成金制度

厚生労働省から、「成長分野等人材育成支援事業奨励金」の創設が発表されました。
この助成金は、健康分野、環境分野、これに関連するものづくり分野において、期間の定めのない労働者を雇い入れ、または他の分野から配置転換した労働者を対象に、1年間の職業訓練計画を作成し、Off-JTを実施した事業主に、訓練費用の助成を行うというものです。
対象者1人当たり20万円(中小企業が大学院を利用した場合には、50万円)を上限として支給されます。
 
◆対象となる分野
支給対象となるのは、林業、建設業、製造業、電気業、情報通信業、運輸業・郵便業、学術・開発研究機関などで健康や環境分野に関する業務(建築、製品の製造・取引、技術開発など)を行っているもの、スポーツ施設提供業(フィットネスクラブ等)、スポーツ・健康教授業(スイミングスクール等)、医療・福祉、廃棄物処理業、その他(エコファンド等)に該当する分野です。 
詳しくはhttp://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/f-top.htmlを参照してください。
 
◆支給対象事業主の要件
この制度では、(1)職業訓練計画を作成し認定を受けるとき、(2)職業訓練計画に基づいて訓練を実施後、支給申請するときの計2回、要件の確認が行われます。
職業訓練計画の認定を受けるときは、(1)健康、環境分野および関連するものづくり分野の事業を行っていること、(2)一定の要件を満たした職業訓練計画を作成していることの他、雇用保険の適用事業主であることや、職業能力開発推進者を選任し、都道府県職業能力開発協会に選任調べを提出していることの確認があります。

また、支給申請時には、(1)受給資格認定を受けた職業訓練計画に基づいて訓練を実施したこと、(2)受給資格認定申請書の提出日の前日から起算して6カ月前の日から支給申請書の提出日までの間に事業所で雇用する雇用保険被保険者を事業主都合で解雇していないこと等の確認があります。

◆増加する「雇止め」をめぐるトラブル

期間を定めて締結した労働契約(有期労働契約)においては、契約更新の繰返しにより一定期間雇用を継続したにもかかわらず、突然、契約更新を行わず期間満了をもって退職させる等の、いわゆる「雇止め」をめぐるトラブルが増加し、裁判で争われる事案が増えています。
トラブルを回避するにはどのようなことに注意すればよいのでしょうか。
 
◆書面による明示が大切
有期労働契約のトラブルに対応するため、厚生労働省では、労働基準法に基づいて「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」を策定しています。項目は、(1)「契約締結時の明示事項等」、(2)「雇止めの予告」、(3)「雇止めの理由の明示」、(4)「契約期間についての配慮」となっています。
使用者は、有期契約の労働者に対して、契約締結時に契約更新の有無を明示しなければならず、「契約を更新する場合がある」と明示したときは、契約を更新する場合またはしない場合の判断基準を明示しなければならないとしています。
また、明示した内容を契約締結後に変更する場合は、速やかにその内容を明示しなければなりません。これらの事項については書面により明示することが望ましいとされています。
 
◆有期労働契約の期間
有期労働契約を締結する場合、その期間の長さについて労働基準法で上限3年(原則)という定めがあります。

1年以上の契約を締結した場合は、労働契約期間の初日から1年を経過した日以後において、労働者は、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます。

◆中小企業による策定・届出は約1割

近年、労働者の「ワーク・ライフ・バランス」の重要性が叫ばれていますが、厚生労働省では、次世代育成支援対策推進法(平成15年7月に成立・公布)に基づく「一般事業主行動計画」を策定・届出を行っている中小企業が10.9%(3,901社)であるとする調査結果を発表しました。
 
◆「一般事業主行動計画」とは?
この「一般事業主行動計画」は、企業が労働者の仕事と子育ての両立を図るために、雇用環境の整備や子育てを行っていない労働者も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むにあたり、(1)計画期間、(2)目標、(3)その達成のための対策と実施時期について定めるものです。
現在は従業員数301人以上の大企業にのみ策定・届出が義務付けられています(ただし、罰則規定はなし)が、今年4月以降は、現在は策定・届出が努力義務とされている従業員数101人以上の企業にも策定が義務付けられることとなっています。
 
◆「ワーク・ライフ・バランス」に関する満足度
なお、株式会社インテリジェンスのアンケート調査(25~34歳のビジネスパーソン1,000人対象)によれば、「ワーク・ライフ・バランスが取れている」と回答した人は全体の55.1%であり、年収別では「600万円以上」で62.6%だったのに対し、「300万円未満」では45.2%でした。つまり、年収の高い人ほどWLBが取れているようです。

労働者のやる気を高め、モチベーションをアップさせるためにも、今後さらに「ワーク・ライフ・バランス」への取組みが重要になってくるものと思われます。

◆労働政策審議会が報告書(案)を発表

12月中旬に、厚生労働省の労働政策審議会(安全衛生分科会)から、「今後の職場における安全衛生対策について(報告)」の案が発表されました。
この中には、「受動喫煙防止対策の抜本的強化」「メンタルヘルス対策の推進」など、企業に少なからぬ影響を与える内容が盛り込まれており、今年の通常国会に、この内容を基にした労働安全衛生法の改正案が提出される見込みです
以下では、この報告書(案)の主な内容をご紹介します。
 
◆職場における受動喫煙防止対策の抜本的強化
受動喫煙の有害性に関する知識の普及、受動喫煙防止に関する労働者の意識の高まり等を踏まえて、一般の事務所・工場等については、全面禁煙や空間分煙とすることを事業者の義務とすることが適当である、としています。
また、飲食店、ホテル・旅館等の顧客が喫煙できることをサービスに含めて提供している場所についても、労働者の受動喫煙防止という観点からは、全面禁煙や空間分煙の措置をとることを事業者の義務とすることが適当である、としています。
しかし、顧客の喫煙に制約を加えることで営業上の支障が生じ、全面禁煙や空間分煙を行うことが困難な場合には、当分の間、可能な限り労働者の受動喫煙の機会を低減させることを事業者の義務とし、具体的には、換気等による有害物質濃度の低減等の措置をとることとし、換気量等の基準を達成しなければならないこととすることが適当である、としていますが、当面は、国による指導を中心に行うこととし、罰則は付さないこととする、としています。
 
◆職場におけるメンタルヘルス対策の推進
近年、職場におけるメンタルヘルス不調者の増加が大きな社会問題となっているのは周知の通りです。
今後の事業者の取組みとして、医師が労働者のストレスに関連する症状・不調を確認し、この結果を受けた労働者が事業者に面接の申出を行った場合、現行の長時間労働者に対する「医師による面接指導制度」と同様、事業者が医師による面接指導および医師からの意見聴取等を行うことを事業者の義務とする新たな枠組みを導入することが適当である、としています。

なお、ここでいう「新たな枠組み」では、個人情報の保護の観点から、医師(ストレスに関連する症状・不調の確認を行った医師)は、労働者のストレスに関連する症状・不調の状況および面接の要否等の結果について、労働者に直接通知することとする、としています。

◆過去最低水準の就職内定率

新卒者の就職内定率が過去最低水準となり、「今世紀最悪」とも言われている2011年度の就職活動状況ですが、採用企業側、求職者側はどのようなことを考えているのでしょうか。
 
◆採用企業側は「面接結果」「熱意・意欲」を重視
経済同友会では、会員企業を対象に「企業の採用と教育に関するアンケート調査」実施しました(846社のうち230社が回答)。
その結果によれば、企業が選考方法・基準において最も重視するものは「面接の結果」であり、「適正試験の結果」「筆記試験の成績」が続いています。
また、ビジネスの基本能力としてどのような能力を重視しているかとの質問では、「熱意・意欲」が最も多く、「行動力・実行力」「協調性」などが続きました。
 
◆求職者が考える「就職活動に有利なスキル」は?
求職者は就職に関してどのようなスキルが有利に働くと考えているのでしょうか。
株式会社ブラザーズ(東京の総合広告業)が、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉の4都県)で就職活動中の20代~40代の男女1,000人を対象に「就職活動に有利だと思うスキル」に関する意識調査を実施し、その結果が発表されています。結果は次の通りです。
・1位…「ビジネス英語」
・2位…「MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)」
・3位…「簿記」
・4位…「秘書検定」
・5位…「ビジネス実務法務検定」
・6位…「FP技能検定」
 
◆高校生は「受験」よりも「就職」に不安
その他、株式会社電通総研の調査によれば、高校生が「不安に思うこと」のトップは、「将来の就職」(80%)で、「大学受験」(69%)、「将来のお金」(65%)を大きく上回りました。

また、長引く不況の中、「就職に有利」「就職への近道」という理由から、専門学校への入学者が6年ぶりに増加したそうです。

◆人事院による調査結果から

人事院では、国家公務員の勤務条件等を検討することを目的として、毎年、民間企業の勤務条件制度などに関する調査を実施しています。ここでは、平成21年の調査結果のうち、「病気欠勤・休暇制度」について見ていきます。
なお、本調査結果は、常勤従業員数50人以上の全国の企業のうち、回答のあった3,520社について集計したものです。
 
◆病気欠勤・休暇制度等の導入状況
病気欠勤・休暇制度など、私傷病により休むための制度がある企業は「83.4%」で、そのうち病気欠勤・休暇制度がある企業は「75.9%」となっています。
また、病気欠勤・休暇制度と病気休職・休業制度の両方がある企業は「69.6%」でした。
 
◆病気欠勤・休暇制度の取扱い
病気欠勤・休暇制度の上限日数について、1回の疾病について定めている企業は「85.4%」、1年(度)について定めている企業は「16.4%」となっています。
また、上限日数を1回の疾病について定めている企業のうち、勤続年数による上限日数の違いがない企業は「55.6%」でした。
 
◆病気欠勤・休暇制度の上限日数
1回の疾病について定めている病気欠勤・休暇制度の上限日数の平均日数は「127.1日」で、最頻値は「90日」となっています。

また、病気欠勤・休暇または病気休職・休業から業務に復帰後、同一または類似の病気や怪我で休む場合に、休みの日数を前の休みの日数から通算・累積する企業は「68.4%」となっています。