大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

厚生労働省「サービス残業解消指針」の内容

なくならないサービス残業

サービス残業があったとして2006年度に労働基準監督署から是正指導を受け、支払額が合計100万円以上となった企業は1,679社に上り、対象労働者数は182,561人となっています。支払われた残業代は総額で227億円1,485万円(企業平均1,353万円、労働者平均12万円)です。

 

指針パンフレットをホームページに掲載

サービス残業を放置することは、内部告発等をきかっけに労働基準監督署の是正指導等を受け、不払賃金を支払わなければならないリスクを抱えていることになります。
厚生労働省は、「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」(2003年5月策定)について、よりわかりやすく解説したパンフレットのホームページへの掲載を10月から開始しました。同指針は、賃金不払い残業(サービス残業)は重大な労働基準法違反であるとの考えのもと、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置等に加え、各企業における労使が労働時間の管理の適正化と賃金不払残業の解消のために講ずべき事項を示」すことを目的としています。ここでは、同指針に記載されている内容を改めて見てみましょう。

 

指針が示すサービス残業解消のために取り組むべき事項

(1)「労働時間適正把握基準」の順守
使用者は、「労働時間適正把握基準」を遵守することが必要です。また、労働組合(労働者)も、労働者に対して同基準を周知することが重要であるとしています。
(2)意識・職場風土の改革
サービス残業の背景に、「サービス残業もやむを得ない」という労使双方の意識(職場風土)がある場合には、これをなくすための取組みを行うことが望まれるとしています。
(3)適正に労働時間の管理を行うためのシステムの整備
サービス残業の実態を把握したうえで、関係者が行うべき事項や手順等を具体的に示したマニュアルの作成等により、「労働時間適正把握基準」に従って労働時間を適正に把握するシステムの確立が重要だとしています。また、サービス残業の温床となっている業務体制や業務指示のあり方にまで踏み込んだ見直しも必要であり、「サービス残業是正」という観点を考慮した人事考課の実施等により、適正な労働時間管理を意識した人事労務管理が望まれています。
(4)労働時間を適正に把握するための責任体制の明確化とチェック体制の整備
事業場ごとに、労働時間管理についての責任者を明確にしておくことが必要であるとされています。また、労働時間管理とは別に、相談窓口を設置するなどしてサービス残業の実態を積極的に把握する体制の確立が重要であり、実態を把握した場合には、労働組合(労働者)としての必要な対応を行うことが望まれるとしています。