1か月単位の変形労働時間制の解説

1か月単位の変形労働時間制の要件

1か月単位の変形労働時間制は、変形期間の最長が1か月とされていますので、それより短い期間(たとえば2週間)でも運用できます。

 

1か月単位の変形労働時間制の採用用件は以下のとおりです。

 

  1. 労使協定、就業規則その他これに準ずるものにより
  2. 1か月以内の期間を平均して1週間の労働時間が法定労働時間を超えない範囲内で
  3. 各週及び各日の労働時間を具体的に特定しておく

 

なお、労使協定の締結による採用の場合でも、規模10人以上の事業場は就業規則の変更、労使協定、就業規則変更の労働基準監督署への届出が必要です。
また、「これに準ずるもの」とは、就業規則の届出義務のない規模10人未満の就業規則を作成していない事業場の場合で、労働者の労働条件を具体的に書面で規定したものです。特に書面の要件は定められていません。

 

これらの要件を満たすことで、特定の日において1日8時間を超えて、特定の週において週40時間を超えて、労働させることができます。

労使協定による1か月単位の変形労働時間制の採用

1か月単位の変形労働時間制を、労使協定により定めるか、就業規則その他これに準ずるものにより定めるかは使用者が決定できます。

 

しかし、労使協定により1か月単位の変形労働時間制を定めた場合でも、就業規則にその規定を設けることは必要であり、労使協定は労働基準監督署に届け出なければなりません。

変形期間における法定労働時間の総枠

1か月単位の変形労働時間制は、変形期間(1か月以内の期間)を平均して1週間の労働時間が法定労働時間を超えない超えないことが要件です。
つまり、変形期間における所定労働時間の合計が次の式によって計算される時間を超えないということになります。

 

40時間(特例措置対象事業場は44時間)×変形期間の歴日数÷7

 

  • 1か月30日の月 171.42時間
  • 1か月31日の月 177.14時間
  • 1か月28日の月 160時間

1か月単位の変形労働時間制での時間外労働となる時間

1か月単位の変形労働時間制を採用した場合も、時間外労働をさせることは可能です。ただし、割増賃金の支払いは必要になります。
1か月単位の変形労働時間制を採用した場合に時間外労働となる時間は以下のとおりです。

 

  1. 1日については、8時間を超える時間を定めた日はその時間を超えて労働した時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間
  2. 1週間については、40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超える時間を定めた週はその時間を超えて労働した時間、それ以外の週は40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超えて労働した時間(ただし、1.で時間外労働となる時間を除く)
  3. 変形期間については、変形期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(ただし、1.2.で時間外労働となる時間を除く)

1か月単位の変形労働時間制での所定労働時間の変更

1か月単位の変形労働時間制の変形期間の途中で所定労働時間や始業・終業時刻を使用者が変更することはできません。

 

仮に使用者と労働者が合意した場合も、変更は認められないと解されています。

 

ただし、休日の振替えは可能です。