大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

未払い賃金に関する従業員救済制度

勤務先が経営破たん

勤めていた会社が経営破たんしてしまい、「もう少し待ってもらえないか」と言われていた先月分の給与も支払われなくなってしまった。このままでは生活が立ち行かなくなってしまう…。このようなケースでは、従業員救済のため、労働者に対して未払い賃金の一部を立替払いする「未払い賃金の立替払い制度」がセーフティネットとして用意されています。

 

未払い賃金の立替払い制度とは

未払い賃金の立替払い制度では、「賃金の支払いの確保等に関する法律」に基づいて、労働者健康福祉機構(旧労働福祉事業団)が未払い賃金の一定範囲を立替払いします。機構は労働者が持つ賃金請求権を代わりに取得し、もし事業者に資産があれば、そこから立替払いした賃金を回収します。
立替払いの請求は、未払い賃金のある労働者が、破産等の証明者から証明書の交付を受け、機構に提出して行います。証明者は、会社の倒産が破産などの法的手続による倒産なのか事業停止などの事実上の倒産なのかにより異なります。法的手続による倒産の場合は裁判所が選任した管財人や清算人、事実上の倒産の場合は会社所在地を管轄する労働基準監督署長が証明者となります。
立替払いの金額は、退職前6カ月間に未払いになった給与や退職金の80%です。賞与や総額2万円未満の未払い賃金については対象とはなりません。また、退職時の年齢に応じて支払われる金額に上限が設けられており、30歳未満は88万円、30歳以上45歳未満は176万円、45歳以上は296万円とされています。

 

対象は中小企業、パートやアルバイトも対象者

この制度の特徴の1つとして、対象は中小企業に限定されるということが挙げられます。中小企業の範囲については、業種別に4つの区分に分けられていますが、一例を挙げると、一般的な産業であれば「資本金3億円以下または労働者300人以下」、サービス業であれば「資本金5,000万円以下または労働者100人以下」などとなっています。
また、この制度は正社員だけを対象者にしたものではありません。パートやアルバイト、外国人労働者等、労災保険の適用事業場に雇われて賃金を得ていた労働者であれば、雇用形態・国籍等を問わず、未払い賃金の立替払いの対象となります。