大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

非正社員雇用の現状は?

非正社員雇用が頭打ち

景気停滞局面の中、拡大が続いてきた派遣やパート・アルバイトなどの非正社員の雇用に、頭打ち感が強まってきました。企業は中長期的な人材確保のための正社員採用には積極的ですが、非正社員については絞り込む傾向が強くなっているようです。

 

非正社員の雇用の現状

総務省「労働力調査」で、雇用者数の内訳をみてみましょう。
正社員などの「常用雇用」は今年6月まで3年4カ月連続で前年同月実績を上回りました。しかし、その一方で、日雇いを除く1年以内の有期雇用を示す「臨時雇用」は、今年に入り6カ月連続でマイナスとなっています。これは、原材料の高騰や米国経済の低迷など経営環境の急速な悪化を受け、派遣社員や期間従業員の数が減らされたことによるものと考えられます。昨年の10月まで1.4倍台を維持していたパートの有効求人倍率は今年6月には1.25倍(季節調整値)にまで低下し、約6年ぶりの低さとなっています。
アルバイトも頭打ち傾向です。求人広告などから集計された6月の全国平均時給は968円で、前年同月を2%下回りました。人手不足を反映して上昇が続いてきたアルバイトの時給ですが、これで3カ月連続でのマイナスです。

 

人材派遣業界の現状

また、人材派遣業界も転機を迎えています。人材派遣業界は、固定費の増加を避けたい企業の需要拡大により急成長を続けてきましたが、日本人材派遣協会が107社を対象に集計している人材派遣の平均実稼動者数は今年4〜6月で前年同期比1%増にとどまり、比較可能な2003年以降で最も低い伸びとなりました。

 

柔軟な雇用環境の確保が大切

正社員採用については、「団塊の世代」の大量退職が始まり、長期的にも少子化の影響で人手不足が続くことが予想されることから、中長期的な人材確保のため、企業は積極的な姿勢を維持しています。
一方で、非正社員については、改正パートタイム労働法の施行や日雇い派遣の原則禁止といった規制強化の動きも重しとなり、雇用が頭打ちになっていると考えられます。非正社員の待遇改善はもちろん大切ですが、待遇改善を目指す法律がかえって企業の慎重姿勢を強めてしまうことのないよう、柔軟な雇用環境を確保していくことが大切であるといえます。