大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

迫り来る「2009年問題」にどう対応するか?

製造派遣の「2009年問題」とは?

2004年の労働者派遣法改正において、それまで認められていなかった製造業への労働者派遣(製造派遣)が「1年間」に限って解禁され、2007年にはこれが最長「3年間」に延長されました。2007年3月の時点で契約1年以内であった労働者派遣については、手続きを踏むことより契約期間を2年間延長することができるようになりました。
「2009年問題」とは、2006年3月1日以降に締結された派遣契約が2009年3月1日以降に契約期間の上限を迎え、その際に企業はどのように対応するかという問題です。
もっとも、2006年夏の"偽装請負騒動"以降に請負から労働者派遣に切り替えた企業も多いため、派遣社員の契約期間の上限到達が本格化するのは2009年秋以降だとも言われています。

 

企業はどのように対応するか?

労働者派遣法においては、契約期間が3年間を超えた場合に再度派遣契約を締結する際には、3カ月間以上期間を空けなければいけないとされています。そこで、派遣先企業の対応の選択肢としては、(1)派遣から請負に切り替える、(2)派遣から直接雇用に切り替える、ことが考えられています。
(1)の請負への切替えについては、業務内容を検討しながら、「区分基準」(昭和61年労働省告示第37号)で示されている条件等をクリアしていく必要があります。その際には厚生労働省から発表されている「製造業の請負事業の適正化及び雇用管理の改善に関する研究会報告書」(2007年6月29日)にあるチェックシートが参考になると思われます。(2)の直接雇用への切替えについては、人件費の増加などが特に中小企業を悩ます問題となります。
いずれにしても、派遣先企業としては自社におけるリスクを考えながら、適切に対応していかなければなりません。

 

大手企業における対応策は?

キヤノンは今年3月に、子会社を含めた工場などの製造現場で働く派遣社員(約1万2,000人)の受入れを年内に全面的に打ち切り、半数を直接雇用の期間社員、残りの半数を請負会社との契約に切り替えることを明らかにしました。同社は偽装請負があるとして労働局などから指導を受け、派遣契約への切替えを順次すすめていましたが、直接雇用と請負とに再編する方針のようです。