大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

障害者雇用をめぐる現状と不況による影響

◆障害者雇用率が過去最高に

平成20年の民間企業における障害者雇用率が1.59%(今年6月1日時点。前年比0.04ポイント増)となり、過去最高を更新したと、厚生労働省から発表されました。
雇用されている障害者数は約32万6,000人(同2万3,000人増)で、法定雇用率を満たしている企業は44.9%(同1.1ポイント増)です。産業別の実雇用率では、「医療・福祉」「電気・ガス・熱供給・水道」などで高く、「情報通信」「教育・学習支援」などで低くなっています。また、特例子会社の認定企業は242社でした。
また、ハローワークにおける障害者の就職件数については、平成13年度の27,072件以降、年々増加し、平成18年度には43,987件(前年度比13.1%増)と初めて4万件を突破し、平成19年度はこれをさらに3.6%上回り、45,565件と過去最高の就職件数となっています。

 

◆障害者雇用における「特例子会社」とは?

障害者雇用促進法で定める障害者雇用義務は、個々の事業主に課せられているため、子会社で雇用した障害者の数は親会社の雇用率には反映されません。しかし、障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たしたうえで厚生労働大臣の認定を受けた場合には、子会社の労働者は親会社の労働者とみなされ、親会社が雇用する労働者数に加えることができます。この子会社を「特例子会社」といいます。

 

◆不況による影響は?

ここ最近の景気の悪化・不況により、障害者雇用への影響が出ている業種もあるようです。
売上の落ち込みが特に激しく、多くの企業が減産の方針を明らかにしている自動車業界では、障害者を雇用して部品の下請作業などを行っている「作業所」や「就労支援施設」において、受注カットなどが目に見えて増えているようです。これにより、労働者の収入が減少しているケースが多く見受けられ、労働者に不安を与えています。

 

◆初めて障害者を雇用した企業に奨励金支給へ

厚生労働省では、現在、障害者のさらなる就労促進を目的として、初めて障害者を雇用した中小企業(従業員56〜300人)に奨励金を支給する制度の創設を検討しているそうです。一企業について数十万円〜100万円程度を支給するとするもので、同省は、早ければ今年度中に実施したい考えです。
制度創設により、障害者雇用に良い影響を与えられるでしょうか。