大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

国民年金の適用年齢を見直し!?

◆年金保険料はいつからいつまで払うのか

2009年度における財政再計算に向けて、社会保障審議会年金部会は国民年金の適用年齢の見直しを検討しています。「20歳〜60歳が適用」ですっかり定着している国民年金ですが、どのように見直されているのでしょうか。

 

◆学生から取る保険料

現在国民年金の適用年齢は20歳からですが、現状では、22歳程度までは大学生等の学生の割合が多く、生産活動に従事しているとは言い難い状況です。それを反映してか国民年金の保険料納付率は、20歳代が最も低く、年齢階層が上がるに従って高くなる傾向にあります。これらの事情を踏まえて、「学生から保険料を取ること自体がおかしく、適用年齢を引き上げるべき」、「より年金制度に関心を持つ世代に適用範囲をシフトさせれば、納付率の向上が期待できる」、「保険料の徴収は稼得と連動させるべき」といった意見があります。

 

◆見直し案と検討事項

見直す際に考えられる選択肢としては…
(1)適用年齢を25〜65歳とする。(40年加入は堅持)
(2)適用年齢を20(または18)〜65歳とし、その間で40年納付すればよいこととする。
(3)適用年齢を20〜65歳とし、うち20〜25歳は一律納付猶予の期間とする(任意で保険料を納付した場合には保険料納付期間として取り扱う)。60〜65歳については当面は任意加入とすることも検討する。
(1)の場合、20〜24歳については障害年金が給付されなくなるので、別途その期間中について障害者の所得保障のための措置(福祉手当の創設)を講じる必要があると考えられます。(2)の案は、個々の被保険者が保険料を納めていない期間について、「納付しなくてもよい期間(強制徴収不可)」と「納付すべきなのに納付していない期間(強制徴収がありうる期間)」との区別をどのようにつけるのか、検討の必要がありそうです。最後に(3)の案は、40年間という現行加入期間を超える期間の年金額への反映について、対処する必要があります。
適用年齢の問題とは別に、国民年金保険料の徴収時効を現行の2年から5年程度に延長することや、基礎年金の支給を受けられるようになるために必要な保険料を支払ったとみなされる期間(受給資格期間)を、現行の25年から10年程度に短縮することなどについても検討されています。
国民年金法の成立は昭和34年、当時とは全く様相の異なる現代社会にマッチした、柔軟な年金制度改革の実施が、待ち望まれます。そのための論議は、選挙の争点とするなどにより、国民全体で広く考えていくことも望ましいのではないでしょうか。