大阪の社会保険労務士、村田社会保険労務士事務所による労務管理情報

これからどうなる?「偽装請負」への対応

偽装請負をめぐるこれまでの動き

偽装請負(実態は労働者派遣であるにもかかわらず請負と偽っている違法な形態)については、平成18年の夏にマスコミが取り上げたことを発端として話題となりました。大手企業が恒常的に偽装請負を行っていたとの報道には大きなインパクトがありました。
その後、厚生労働省は、社会問題化した違法派遣や偽装請負を一掃することを目的として、昨年4月に「緊急違法派遣一掃プラン」をスタートさせるなどしましたが、制定された「日雇派遣指針」の効果も上がらず、労働者派遣法改正案も国会審議が進んでいないようです。

 

新たな通達と「疑義応答集」

厚生労働省では、今年3月末、偽装請負への指導をさらに強化していくため、全国の労働局宛てに労働者派遣と請負の区分基準を明確化する通達を出したそうです。また、同省のホームページに「『労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準』(37号告示)に関する疑義応答集」の掲載を開始しました。

 

わかりにくい派遣と請負の区分基準

『労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準』は、昭和61年に労働者派遣制度が開始された際に厚生労働省が発表したものです。しかし、この基準をもってしても「派遣と請負を区分する基準はわかりづらい」との声が上がっていました。
そこで、具体例を用いてその区分基準を明らかにしたのが上記の「疑義応答集」です。いわゆる「労働者派遣の2009年問題」にも対応するものだと言われています。

 

「疑義応答集」の具体的内容

全部で15のQ&Aからなる「疑義応答集」は、どのようなケースが偽装請負に該当するのか、以下の項目ごとに具体例を挙げて示していますので、非常に参考になります。ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/dl/haken-shoukai03.pdf)でご確認ください。
(1)発注者と請負労働者との日常的な会話
(2)発注者からの注文(クレーム対応)
(3)発注者の労働者による請負事業主への応援
(4)管理責任者の兼任
(5)発注者の労働者と請負労働者の混在
(6)中間ラインで作業する場合の取扱い
(7)作業工程の指示
(8)発注量が変動する場合の取扱い
(9)請負労働者の作業服
(10)請負業務において発注者が行う技術指導
(11)請負業務の内容が変動した場合の技術指導
(12)玄関、食堂等の使用
(13)作業場所等の使用料
(14)双務契約が必要な範囲
(15)資材等の調達費用